金融庁による銀行カードローンにおける実態調査と結果

金融庁は、メガバンクなどの12の銀行を対象に実施したカードローンに関する立ち入り検査の結果を発表しました。
そして利用者の年収の変化の把握が十分でない点など、「多重債務者抑制のための取り組みについて、改善の余地がある」と指摘しました。
全国銀行協会は昨年3月、銀行カードローンの過度な融資で「多重債務者が増えている」との指摘も受け、融資後の利用者の動向を把握するなど自主規制を実施してきました。
金融庁は昨年9月、自主規制後の実態を把握するため、カードローンにおける融資額の多い銀行を中心に「利用者の返済能力を把握するための融資審査態勢に問題がないか」などについて検査しました。
検査の結果、返済能力の判断材料となる「年収証明書」を取得する基準の融資額について、自主規制後は12行中11行が貸金業者に定められているのと同等の「50万円以上」に引き下げて、把握対象者を広げるなどの改善が見られました。
しかし一方で、融資後に利用者の収入などを定期的に把握していなかった銀行が5行もあり、金融庁は、融資後の対応を問題視しました。
ついては「融資後も年収証明書を取得するなど利用者の把握に努めてほしい」と求める格好となっています。
さらに今後は、カードローンを扱う全行に検査対象を広げる方針に決めました。
また融資上限については、過半数の7行が、消費者金融など貸金業者で原則適用されている総量規制の「年収の3分の1」を超える「年収2分の1」を設定していたことも検査で判明し、銀行カードローン問題に詳しい弁護士は「銀行も貸金業と同等の『年収3分の1』に制限しなければ過剰な融資は続き、問題は解決しない」と指摘しています。
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