他を圧倒するスルガ銀行の収益力!秘密は個人向け融資に?

唐突ですが「スルガ銀行」をご存知でしょうか?
本拠地を静岡県沼津市に構える数多くの地銀の一つです。
決して規模や商圏など、環境が優れているようには見えないスルガ銀行ですが、実は地銀の中においては、圧倒的収益力で他の追随を許さない存在にまで成長してきました。
平均年間給与は85地方銀行の中でトップ。メガバンクを含めても三井住友銀行に次いで2位の平均給与であると言えば、その異質さがイメージしやすいでしょうか。
ではなぜこれほどの圧倒的収益力をスルガ銀行が誇っているのでしょう?
他行とは何が違う?スルガ銀行のスゴさとは
まずスルガ銀行の収益力の高さを知るために、以下のデータをご覧ください。 ≪2017年3月期≫ ■業務純益:636億円 ■総資産:4兆4658億円 ■総資産に対する業務純益の比率(総資産業務純益率):1.42%
このデータと他行を比較してみると、総資産業務純益率は地方銀行平均で0.3%。
スルガ銀行に次いで2位にランクインしている南日本銀行(鹿児島市本店)は0.59%となっており、まさしくスルガ銀行が他を圧倒しているのが一目瞭然です。
これだけ他を圧倒するからには、根本的に他行との経営戦略や考え方そのものに関する決定的な違いとあると考えるのが自然な発想でしょう。
事実、具体的に見ていくとスルガ銀行は独自の経営方針を打ち出しており、明らかに業界内でもある意味「異端的存在」であることが見て取れます。
スルガ銀行独自の経営戦略の秘密に迫る

スルガ銀行の経営における大きな特徴は2点。
・個人向け融資を強化
・インターネットを活用した広域展開
決して規模の大きくない地方銀行という存在にありながら、上記2点の特徴的な経営方針がスルガ銀行飛躍の秘密と言っても過言ではあります。
そもそも銀行は本来、個人より法人向け融資の割合が高い傾向にあるのがこれまでの常でした。
理由は単純。
個人と比較すると企業向け融資は圧倒的に扱う金額のケタが高いからです。
そうなればある意味必然的に銀行側は企業向け融資やサービスに力を入れることになり、実際個人向けと言えばカードローン、住宅ローンなどに限る程度の規模にとどまってきました。
しかしバブル崩壊以降、逆に企業側の体力が落ちてきたこともあり、企業向け融資の伸び率は頭打ち。多くの企業が守りに入り「借りない方針」を強める中、経営状態が芳しくない企業が逆に融資を強く希望するという、銀行側にとってはお世辞にも好ましいとは言えない強まってきました。
そんな流れの中、これまで銀行としてあまり力を注いでこなかった「個人向け融資」にいち早く力を注いだのが、何を隠そうスルガ銀行だったのです。
それだけにはとどまりません。
特筆すべきは個人向けサービスの強化と同時に、ネットサービスの拡大にも着手したところ。
いち地方銀行という存在でありながら、限られた地域内だけでなくネットを通じて全国へと供給の範囲を広げたことが、スルガ銀行の飛躍を大きく後押ししたと言えるでしょう。
カードローンだけでなく不動産投資にも強いスルガ銀行

地方銀行でありながら、約120店舗のうち、およそ半数の65店舗しか静岡県内に展開していないスルガ銀行。
残りは東京などの首都圏や名古屋などの地方中核都市に出店しており、これだけでもスルガ銀行のユニークな経営方針が見て取れますが、実際に個人向け融資の商品自体にはどのような特徴があるのでしょうか。
まずカードローンについてですが、何と言ってもゆうちょ銀行を「代理業者」として、カードローンを提供している点が挙げられます。
もちろんスルガ銀行自体もカードローン申込の受け付けは行っているのですが、ゆうちょ銀行との提携により、ゆうちょの窓口でもお申し込み可能な状態となっているため、他の地方銀行のカードローンとしては窓口の広さが圧倒的に違うと言えるでしょう。
更にスルガ銀行の個人向け融資商品として有名なのが、「アパートローン」です。
この商品は不動産投資市場を席巻しているほどの人気で、不動産投資を行っている個人投資家の中ではだれもが知っている程名の知れた商品です。
しかもこのアパートローン。他行と比べると金利がかなり高いものであるのに人気を集めているという面白い特徴を持っています。
では何故金利の高い商品が人気なのか…?
融資するか否かの判断が非常に柔軟であり、なおかつ審査スピードが速いからです。
ちなみに「柔軟」というのは、建物の耐用年数など、融資条件を機械的に判断しがちな常識にとらわれず、「個人の属性」を重視している点を指しています。
要するに、「個人の信用」をみて、融資の可否を判定している訳です。
従って、古い物件や他行なら融資条件から外れるような物件でも、個人としての条件をクリアすればスルガ銀行から融資を受けられるケースも少なくありません。
スピーディかつ柔軟。
不動産投資に関する融資においても、スルガ銀行独自の「柔軟な発想」が存分に生かされているのが分かるでしょうか。
スルガ銀行の独り勝ちに待ったをかけるところは現れるか
数字だけを見ても、地方銀行の中でスルガ銀行が際立っているのは誰の目にも明らかです。
しかし、その成長の経緯をたどっていく中で、どこに飛躍のポイントが潜んでいるのかは現在まででかなり明らかになってきました。
要するにこれまで圧倒されていた他行としても、スルガ銀行の例にならって成長を遂げる銀行が出てきても決しておかしな話ではないのです。
「二番煎じ」だけでうまくいくとは限りませんが・・・他行も黙ってばかりはいないはず。
個人向けサービスへと新たに力を入れる銀行が出てくるのか、はたまたこれまでにはない斬新なアイデアで勝負をかけるのか。
今後の展開も興味深く見守っていきたいところです。
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